旅と本の連載「BackBookPacker」が更新されました。今回は、伊豆半島の伊東で見つけた本からインスピレーションを受けて書きました。
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旅宿で思いがけない本と出会うことがままある。宿泊客の誰かが置いていった本かもしれないし、オーナーが気を利かせて揃えた本かもしれないが、旅宿に本棚があれば、それらを眺める癖がついている。
ミャンマーのパガンという街の宿には、三島由紀夫の『春の雪』があったし、あれは確かポルトガルのポルトの宿だったと思うが、さくらももこの『ももこのトンデモ大冒険』を見かけたこともあった。「え、なんでこの一冊?」と疑問に思う部分もあるのだが、その本の背景やかつての持ち主に思いを馳せるのは、とても楽しい。「この場所で以前誰かに読まれた本」もしくは「この場所のために誰かが選んだ本」というのは、普通の古本とはまた違う味わいがある気がする。
それから、地元で愛される書店があると聞けば、積極的に足を運ぶ。東京ではなかなか見られない、郷土本やローカル雑誌が並んでいることが多いからだ。たとえ海外であっても、書店を見つければ、ついつい吸い込まれてしまう。大して語学はできないので、外国語の本を買うことは稀だが、書店に行けばその国々の文化の一端を見られる気がする。まぁ単純に本が好きということもあるのだけれど、やはり旅先で出会う本は、どこか特別な感じがする。
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・好書好日連載BackBookPacker「#38 「伊豆は詩の国であるという世の人はいう」 静岡・伊東」
五月女菜穂